初の「アジア里親大会」が韓国で開催

The first Asian Foster Care Conference  was held in Seoul, South Korea, last Sept. 15-16, 2006

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http://www.geocities.jp/hokukaido/satooya/seoul2006/

2006.9.30
中兼正次(北海道)

Report by Shoji Nakagane, Hokkaido, Japan

 91516日、「韓国里子養育父母協会」(韓国里親会KFCA)が主催する、「アジア子供の権利と里親会議2006」(アジア里親大会)が、ソウルで開かれました。この協会は正式に発足してから8年という若い団体ですが、政府と企業の大きなバックアップを受け、伸び盛りです。

 大会参加者は約150名。その他、里子合唱団やマスコミなども含めると、全部で約250名という、盛大な大会でした。参加国は西から、ウズベキスタン、アフガニスタン、パキスタン、インド、カンボジア、フィリピン、台湾、中国、韓国、日本、国際里子養育機構(IFCO)からアイルランド人の会長も来賓として参加し、11カ国です。パスポートの期限切れとかで、アルメニアの参加は幻に終わりました。

 日本からは21名(うち現役の里子1名)。日本人の発表は、京都府立大学の津崎哲雄教授が、「大人の既得権益対子どもの権利」、ライターの村田和木さんが、「日本ではなぜ里親委託が増えないのか?」という題で、発表されました。栃木県の藤正信里親は、フィリピンの子どもの支援活動と、日本の堕胎の問題を指摘し、尺八、オカリナ、イスラエルの角笛ショーファーで、彩りを添えました。

 アン基金からは、和泉さん、御園生さん、楽木さんと、3名の若手女性研究者が参加されました。今後の研究成果から、里親会や行政への提言など、大きな期待が持たれます。

 大会の詳しい結果は、このホームページをご覧ください。発表論文も載せてあります。
http://www.geocities.jp/hokukaido/satooya/seoul2006/seoul2006.htm

 各国の発表に、「子どもが家庭を持つ権利」という言葉が何度も出てきました。「子どもが家庭を持つ権利を保証しよう」、これを今後の日本の里親関係者のスローガンにしてはどうかと思います。
 実は、韓国では、この大会を2005年に開くと世界に宣言していたのですが、準備不足から直前に延期されました。その代わり、同年11月、日本から5人の発表者をソウルに招き、これも初の「日韓里親セミナー」が行われました。

 韓国は今度こそとの意気込みで、アジア大会を成功させ、元気いっぱいです。エネルギーでは押され気味な日本ですが、日本の方が充実している点もあるので、学びあえればと思います。
 各国の発表者から、「次は日本で?」との声を何度も耳にしました。できれば3年後、日本のどこかでアジア里親大会を開けないものでしょうか。一緒に考えてみたい方は、ご連絡をください。

 067-0061 北海道江別市上江別東町5-41 中兼正次 hokkai321@ybb.ne.jp



発表者から一言

●津崎哲雄教授:はっきり見えてきたことは、里子の委託機関が公務員だけで成り立っているのは、世界でも日本だけではないか、ということでした。今後日本も若い人たちにどんどん国際会議に参加してもらい、日本がいかに国際的に孤児であるか認識し、専門的にも政治的にも里親委託推進の原動力となってほしいです。


●村田和木さん:どの国も、子どもの権利条約に基づいた「子どもが家庭で暮らす権利」を大事に考えていることを、強く感じました。韓国では垢すりで、少し白くなった気がします。


●藤正信さん:今回の日本からの参加者の皆様の子供に対する熱意に打たれました。里親に関する本を書かれた二名の方に逢いました。進んで通訳を飛び入りでしてくださった方、韓国の事務局といつも交渉してくださった中兼さん。日本の里親制度に大きな飛躍の原動力を見た感じです。多くの子供が家庭で夢を持って育つように願います。