<初版カバーから>
報道記者の叫び 知られざる小児マヒゼロ作戦
呪われたウイルスの嵐に手を組んで立つ記者と医者の世紀の記録!
◆ 執念の男
この書は、ポリオの根絶の問題を追求しているが、同時に、日本の陽当りのわるい谷間を歩き続(つづ)けた執念の男の七年間の血の記録である。
障害二十万の人のためばかりの本ではない。ぜひ一般人に読んでほしい本である。
水上勉 作家
■セービン博士からの言葉
はるばる太平洋をこえて、日本のポリオ根絶の報に心から敬意を表す。
人類が五十年目にウイルスに勝った喜びを最初に味わったのは日本だ。これから生まれ
る新しい生命を守ることに成功した素晴らしい人たち、六年間の粘りづよい努力、心からおめでとう。
◆ 一粒の麦
無理解と妨害の中で、馘(編注:くび)まで賭けて、日本から小児マヒをなくしてくれた人の名前を、世の母親に覚えておいてほしいと思います。上田哲。彼をモデルにした映画「われ一粒の麦なれど」の役の中でも、私は彼に感動しました。
高峰秀子 女優
◆ 歴史的記録
昭和三十六年のポリオキャンペーンはマスコミニケーションが国民運動を成功させた珍しいケースだ。本書はこの運動の経過を描いた歴史的記録である。
松田道雄 医師
著者
上田哲(うえだ・てつ)
一九二八年東京に生まる。
一九五四年高校教師のかたわら京都大学法学部卒、NHK入社。
一九六一年社会部記者としてポリオ(小児マヒ)撲滅運動の原動力となる。
のちに首相官邸づめ政治記者、日本マスコミ市民会議代表理事、月刊「マスコミ市民」発行。著書「貧しきロマン」等。
現代ジャーナリズム出版会 ¥380