ミッちゃん Mitchan 

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ミッちゃん
広い訓練室の片隅でひとり遊んでいたミッちゃんは「おじちゃんそりでずっとつれてって」と手を伸ばした。いわれるままに板張りの訓練室を2、3回ぐるぐるそりをひいて歩いた。床板のきしみで案外おもかった。わたしの額には汗がにじんだがミッちゃんはおかまいなく「きゃっきゃっ」と喜んだ。「もういいからあそこへ」 そこは大きな鏡のまえだった。ようやくわたしは、腰を伸ばして額の汗をふいた。