18:3:50ポリオやポストポリオの解説
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「ポリオ」とは
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ポストポリオとは
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ポストポリオの病院窓口
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ポストポリオの症状と原因
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針によるポストポリオ症候群の治療(翻訳)
ポリオとは
「ポリオ(小児麻痺、脊髄性小児麻痺)」
という病気をご存じですか?
これは、ポリオウイルスによって、手足や喉などの神経がやられて麻痺する、古くからある病気です。日本では、昭和30年代前半に大発生しましたが、昭和36年のソ連とカナダからの生ワクチン大量輸入を契機に、その後ほとんどの子供がポリオワクチンを飲んでいるので、新しくかかる人はほとんどいません。
ポリオは、19世紀末から1960年代前半にかけて世界中で荒れ狂い、今でもインドなどの発展途上国で発生が続いている恐ろしい病気です。
昔感染した私達は、大なり小なり全身に、各人各様の後遺症が残っています。インド、ロシア、中国等では、貧困でワクチンが摂取できず、新しくポリオに感染する人が毎年何万人もいるそうです。
最近は、お医者さんでもポリオについてあまりご存じないようで、手足が急に弱くなってきても、相談する場所があまりありません。
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「ポストポリオ」とは
ポストポリオは、ポリオにかかって何十年も経ってから、その間何とか健常者と同じような機能を果たしてきた障害部分が急に弱くなる現象の総称で、単一の病気ではありません。
「ポストポリオ症候群」、「ポリオ後(ぽりおご)症候群」、「PP症」、PPS(Post Polio Syndrome)などとも呼ばれています。「ポスト・ポリオ」と、間に点を打つこともあります。ここでは、「ポストポリオ」と呼ぶことにします。1980年初め頃から欧米で問題になっています。
簡単に言うと、弱った神経でがんばって、健常者に無理に付いてきた体が、自分の体力のペースに合わないような使い方をしたことにより、急にガクッと弱くなることのようです。
予防法としては、似たような症状の人達と情報を交換し、適度な運動に心がけ、使いすぎたり運動不足になったりしないようにすることが考えられます。ポリオ経験者の場合には、特に、運動不足よりも使い過ぎの方が問題にされることが多いのです。
なお、詳しくは、専門のお医者さんにお聞きください。
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ポストポリオについての病院窓口
Which doctor to see ?
ポストポリオの相談を病院のどの科にすべきか、皆さんお悩みと思います。それに適しているのは、
「神経内科」、次ぎに「整形外科」ではないか、と思われます。整形外科は数が多いのですが、「神経内科」は最近新たにできた分類で、一般の方にはまだあまり知られていません。道内では、大きな総合病院のほか、いくつかの個人病院にあります。もちろん、その先生個人によって変わります。
どの病院が良いかは、一概に言えませんので、各地のポリオの会などにご相談ください。
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ポストポリオの症状と影響(翻訳)
ポストポリオの症状と影響:簡単な説明
(Translated from "POST-POLIO SYMPTOMS & EFFECTS: A BRIEF GUIDE" by Shoji Nakagane)
ここ数年、一般的に「ポリオの遅発性の影響」と呼ばれるものに対して、多くの研究が傾けられている。研究は続いており、そのペースは加速してきている。ここにリストアップされた例は、ポストポリオとして知られるものか、または関係があるのではないかと疑われているものである。
個人毎の例は全て異なる。年齢、障害の程度、ポリオの被害をどのくらい受けたかを含めて、個人差が大きい。しかし、これらの症状は、適切な内科治療を求めて、恐らく自分自身のライフスタイルに必要な変更を加えるのに有用な案内であり、人生の計画を立て直すきっかけになるだろう。
ポストポリオの問題として知られ、あるいは推測されるている問題は、概ね次の4つに分類される。
1)顕著な疲労
軽い運動や活動の後に残る顕著な疲労が、ポストポリオ患者に共通して見られる。これは、筋肉の使いすぎのせいである。
2)関節と筋肉の痛み
ポストポリオによる新たな共通の筋骨格的問題には、背骨の骨髄炎、脊柱側湾症、滑液嚢炎、腱炎、骨粗鬆症、帯状疱疹、足と足の指の奇形、手根骨症候群、背中と首の筋肉の緊張から来る慢性の痛みが含まれる。
ポストポリオにおけるこれらの症状は、一般的に、長年の筋肉虚弱とアンバランスから生じる。これは、単なる老化の一過程ではない。例えば限界的な重量に耐えるような場合に、代償的に使われた関節の慢性の痛みは、未成熟や退化性の骨関節症につながりやすい。
背骨と長骨の骨粗鬆症は、高度な障害を持ったポストポリオ患者に非常に多く見られる。骨破砕がストレスによって起こることもある。背骨と手足の一般的な痛みは、多くのポストポリオ患者に共通している。ポストポリオ患者には、場所が特定できない「インフルエンザのような」痛みがよく見られる。 腰背部の痛みもよく見られるが、これはしばしば、弱くなった臀部の筋肉を代償するために多く使われるせいである。脊椎骨の後ろにあり、そのような圧力に耐えるように作られていない椎間小関節に負担がかかるのである。
3)筋肉虚弱と筋肉の弱体化
ポストポリオ患者にとって、最も影響を受けやすい筋肉は、最初の障害から回復し、その後精一杯使われてきた部分である。
共通して言えるのは、新たな筋肉虚弱、痛みの増幅、何となくの疲労と虚弱、運動後の虚弱と痛みである。 ポストポリオ患者が他の人と同様の活動をしようとすると、2〜3倍の努力を必要とする。負担の追加は、使い過ぎによるダメージを残すかも知れない。
持続的な筋肉虚弱が起こる前の使いすぎの初期症状は、運動後のわずかな疲労、運動後のちょっとした虚弱、運動後の特定の筋肉の痛み、軽いけいれんといったものである。
腹筋の弱さは、慢性的に背中の負担と損傷を起こしがちである。ポストポリオ患者は筋肉の蓄積が少ないので、外科手術あるいはひどい病気の後に標準的な活動を再開するには、より多くの時間を必要とするであろう。
4)呼吸器の問題
ポリオと老化は、共に呼吸器の筋肉の状態の悪化をもたらし、呼吸補助器具の使用を必要とするかも知れない。呼吸器の力の衰えの症状は、不眠症、浅い睡眠、悪夢、朝の頭痛あるいはいらいら、浅い呼吸パターン、会話中における無呼吸までも含む。これらの症状が組合わされる場合は、専門家による検査が必要である。呼吸器の損傷がひどいポストポリオ患者の場合には、睡眠中無呼吸症にかかることもある。
「ポストポリオの情報と計画的な救済活動連合」監修。
出典:ミズーリ州セントルイスのガゼット国際ネットワーキング研究所のジニ・ラウリ、フレデリック ・M・メイナード医学博士、D・ アーミン・フィッシャー医学博士 、ジュディー・レイモンドが1984年に出版した「ポリオの遅発性の影響について」のハンドブック。ジョージア州ウォーム・スプリングスで開かれた、ポリオの遅発性の影響についての第1回国際年次シンポジウム資料。ポリオの遅発性の影響についての第1回国際シンポジウム を報道した1981年のリハビリ新聞。
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針によるポストポリオ症候群の治療(翻訳)
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(冒頭部分のみ)
針によるポストポリオ症候群の治療(翻訳)
(Translated from "The Treatment of Post Polio Syndrome with Acupuncture" by Shoji Nakagane) (F. T. ダブラー・ジュニア博士)
原文はこちらへ
1)ポリオの遅発性の影響
ポリオは人類にとって最も古い病気の一つである。1930年代、40年代、50年代の恐ろしい夏に、アメリカで大流行した。幸い、1955年に ソ−ク・ワクチンが実用化され、アメリカにおいてはこの恐ろしい病気も抑えられるようになった。
当時我々は、多くのポリオ生存者が、15〜40年後に新たな症状を見せるなどとは思わなかった。その徴候は、ひどい疲労、痛み、そして筋肉の虚弱である。これらの患者の多くは、寒さへの弱さ、不眠症、憂うつ、不安、呼吸器の障害、注意力の持続時間の短さなども経験した。
よくある筋書きは、患者がそのような症状について主治医に相談し、医学的診断を受け、多分、そしてことによると神経の検査を受け、最終的に精神科医に診てもらうように助言されるといったものであった。
ポリオの遅発性の影響は、1980年代早期に広く認識されだし、1984年5月にジョージア州ウォーム・スプリングスで開催された、第1回国際ポストポリオ学会の前後に「ポストポリオ症候群(PPS)」という用語が造り出された。医学会はポストポリオ症候群についてあまり気付いていないので、医者に自分がポリオにかかったことを知らせて、ポストポリオ症候群についての文献を見せるかどうかは、患者次第である。
不運なことに、ポリオに対する診断試験はないので、排除診断によらねばならない。
2)ポストポリオ症候群に対するもう一つの治療法
現在、アメリカには65万人以上のポリオ生存者がおり、その内35万人以上にポストポリオ症候群の症状が見られると見積もられている。これまでの所、これらの患者に提供する決定的な治療法はない。我々は、体重管理と良質な栄養、より多くの休息を取ること、より軽い杖、補装具、車椅子、人工呼吸器などの改良された機器を使ってストレスを避けること、そして同時に、運動し、ポストポリオ支援グループで活発に活動するよう助言する。また、インフルエンザや肺炎の予防接種を受けた方が良いかもしれない。
3)この新しい治療の結果
ここで、我々が最初のポストポリオ症候群の患者50人を扱った経験と治療の結果を提示したい。45人の患者(90%)に顕著な改善が見られ、36人(72%)の患者の症状がポストポリオ以前の状態に戻ったと記録されている。通常、必要なのは、連続した4〜5日間の治療だけである。数人の患者は、一度の追加的治療によって、6〜18カ月後に改善した。これらの患者は各々どこかで、過去にポリオに感染したと診断されていた。
我々の研究の中では、医学的管理、生活様式、運動日程、薬物療法などには変更を加えなかった。彼らは皆、それまでの生活を続け、自分の地域の医者の診察を受け、医療器具にこの物理療法を加えることについて、より注意深く評価するよう助言された。
用いられた物理療法は、ポストポリオ症候群のために考案された標準的手法による、針治療であった。治療は全部で1時間以下のものであるが、より良い、そして速やかな効果を得るために、4〜5日間続けられる。経験的に、我々は治療する個所が非常に正確でなければならないということを知った。
また、最も好ましい効果を示すことを阻害する要因(あるいは障害)があることも分かってきている。最も良く見られる阻害要因はストレスである。 脊椎、特に第1肋骨の障害は、その次に良く見られる阻害要因である。これらとその他の阻害要因は、後述するように、扱われる。
4)結論
今現在、この治療の恩恵を受けるであろうポストポリオ患者が、アメリカだけでも35万人以上もいる。ポストポリオ症候群の患者は、ずっと以前に急性の病気を安定させたポリオ生存者(訳注:ポリオ経験者)であり、また、15〜40年後に激しい疲労、痛み、虚弱と、恐らく寒さに対する弱さ、不眠症、えん下困難、呼吸器の障害、記憶力の減退などのような他の症状に気付くのである。
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